Intro

 

現代のアジアではどんな音楽が奏でられているのだろうか?それは、どこからやってきて、この先どのように発展していくのだろうか?  

2016年、TPAMは音楽部門を開始する。2015年より「アジア・フォーカス」というビジョンを掲げているため、アジアのアーティストを紹介していく。光栄なことに、わたしがディレクターとして選ばれ、プログラムを作っていくことになった。アジアでは、経済成長、政治体制の変化、表現の自由化、インターネットを介した情報の伝播、伝統的な文化の影響など、多くの要因が絡みあいながら、これまでになかった新しい音楽表現が多くの国で生まれつつある。一言でいって、かなりエキサイティングな状況である。歴史的な考察も踏まえ、そのダイナミックな動きが体感できるようなプログラムを作っていけないだろうか……。

とはいうものの、「アジア」という枠組みで、音楽を安易に特定するのは危険である。国、地域、歴史、民族、宗教、他の文化との関連など、複雑な事情を背景に、音楽のあり方はあまりにも多様である。無数の音楽が「アジア」に内包されているといっていいだろう。それを知るためには、実際に各国へのリサーチへ出向き、現場の実情を探っていくのが最良かつ唯一の方法ではないかと考えた。地域に根ざしたローカルな音楽を深く理解していくために、各地の事情に詳しいキュレーターや研究者などの専門家に委嘱したり、共同でプログラムを作ることも行なっていきたい。

アジアでは、音楽だけでなく、それを育み、紹介していくアーツ・オーガニゼーション、更にはその組織をサポートしていく行政などのインフラも、少しずつだが各国で整備されつつある。アーティストだけではなく、オーガナイザーとも会い、共同プロジェクトの可能性を模索するなど、先を見据えての国際的なネットワーク作りも重要だろう。

まずは、ベトナム、インドネシアを皮切りにリサーチを始めることにした。以下は、道中の出来事を日記風に綴ったものだ。会った人や、訪ねた場所をすべて書き出すとかなり長ったらしくなってしまうので、強く印象に残ったもののみ記すことにする。

 Aki_Onda_photo by Maki Kaoru_2

 

テキスト・写真:恩田晃