インターナショナル・ショーケース back
2007年、ジャズの新しい展開
5日[月] 18:00〜20:00 / 丸ビルホール
ディレクター: 副島輝人[ジャズ評論家]
ジャズの歴史を繙けば、他ジャンルの音楽のさまざまな要素を吸収して発展を続けてきた。それはより新しいものを目指す、自由で革新的な脱皮の連続であった。だから「ジャズから外れている」と云われたものが、次の時代にはジャズの血統と評価されるようになる。今回は2007年の時点での日本ジャズの動向を象徴する3グループを選んだ。それぞれの音楽性と志向する方向は異なるが、扇の要となっているのは、新しい即興を模索している、その姿勢である。
SXQサックスクインテット SXQサックスクインテット/SXQ saxquintet
2001年にメロディーや曲の構成などよりもサックスのナマ音響そのものを演奏するアンサンブルを目指して結成された。現在はその両極のバランスポイントを探るべく、実験的な試みも含む音響的な発想と即興性を重視した楽曲を演奏している。ライブ演奏以外にも野外やホール、スタジオなど、さまざまな音場での録音作品を制作中。
Salle Gaveau Salle Gaveau/サルガボ
2003年、鬼怒無月(g)をリーダーに、喜多直毅(vln)、佐藤芳明(acc)、鳥越啓介(contrabass)、林正樹(pf)ら第一線で活躍する精鋭により結成。タンゴのリズムを援用しつつ、ピアソラの遙か彼方を目指すような音楽を奏でる五重奏団。楽曲の斬新性、演奏技術の高さ、即興対応能力などすべてが類い希。4月にはフランスの「Rock In Opposition」に出演する。
ヒカシュー ヒカシュー/Hikashu
1978年に結成。1979年にニューウェイブロック、テクノポップバンドとしてデビュー。超絶的な歌唱力と乾いたギターサウンド、リズムボックスやメロトロンといった独特の音とその地下演劇的な内容が融合し、異彩を放つ。その後もテクノからノイズ、ジャズ、即興、民族音楽まで取り込みながら、鋭く世界をえぐる、アイロニーと可笑しみに満ちた「ヒカシュー的世界」は一貫している。新作に『転々』(makigami records)。
SOEJIMA Teruto ●Director:SOEJIMA Teruto


主に前衛ジャズに関する評論を手掛ける。一貫して現場重視の立場をとり、日本のコンテンポラリー・ジャズの推移を見詰めてきた。また海外にも頻繁に足を運び、その実情にも詳しい。多年に渡り、日本ジャズの世界進出に力を尽くしている。昨年は、パリ日本文化会館主催「Jazz in Japan」の芸術監督を務めた。著書に『日本フリージャズ史』(青土社)など。