舞台芸術のアーティスト・イン・レジデンス(Artist in Residence/AIR)に取り組む専門家やアーティストを国内外から集めて、ネットワークを構築するための交流プログラム。

美術、文学、音楽などに続いて、舞台芸術の分野でも盛んになりつつあるアーティスト・イン・レジデンス(Artist in Residence/AIR)。「グローバル」と「ローカル」が対立概念ではなくなりつつある現在、アーティストが地域、国境を越えて継続的な活動拠点を構築することが期待され、同時にアーティスト自身の創作欲求から移動するケースも少なくありません。また多様なアートフォームの発展により、従来の言語の壁を乗り越え、同時代の社会に対応する新しい言語の創造に立ち向かうアーティストたちにとって、アイディアや創作のための時間と空間の必要性が高まっています。

AIRはそのニーズに応え得るのか、舞台芸術のAIRに特有の意義と課題とは何か。2012年以来2回目となる舞台芸術AIRミーティング@TPAMは、舞台芸術のAIRに取り組む専門家やアーティストが国内外から横浜に集まり、ネットワークを構築するための交流プログラムとして実施します。また、前回以上にアジアに焦点を当てての公開セッションを行ないます。

Performing Arts AIR Meeting@TPAM

舞台芸術AIRミーティング@TPAM(2012)

主催:PARC – 国際舞台芸術交流センター
助成:平成25年度文化庁文化芸術の海外発信拠拠点形成事業

Agency for Cultural Affairs logo

問合せ:国際舞台芸術交流センター 03-5724-4660/Eメール

セッション1
アジアの中の舞台芸術のAIR状況について

このセッションでは、日本・韓国・中国のAIRについてそのユニークな個別事例をご紹介いただき各地の最新状況を知るとともに、ASEANでのAIR状況とその支援の在り方についてASEF(アジア欧州財団/Asia-Europe Foundation)のディレクターにお話いただき、アーティストやプロデューサーにとってどのようなアジアへのアプローチが今あり得るのかを具体的に探ります。

*日英同時通訳あり

スピーカー

XIE Yihai, Sunny

シェ・イーハイ(Sunny)(GOOD Dance Center[GDC] エグゼクティヴ・ディレクター)

南寧市を拠点とする、中国・広西自治区初のインディペンデントかつプロフェッショナルなダンスカンパニー「GOOD Dance Center」設立者の1人、現在エグゼクティヴ・ディレクター。中国の現代のダンスに力点を置きながら、コンテンポラリー・アーツの普及に努める。2001年以来20以上のガラ、展示、アートイベントを広西自治区で開催し、中国、香港、韓国の様々なダンスフェスティバルに招聘されている。2011年にデンマークの振付家Jens Bjerregaardを南寧に招聘し『NOW』を委嘱、GOOD Dance Centerで上演。同作品は北京と広州をツアーした。2012年に南寧で「The Modern Dance Carnival Festival」を開催、広西自治区で初のコンテンポラリー・パフォーミング・アーツのイベントとなった。

Jaeeun Joo

ジュ・ジェウン(LIG Arts Foundation アーティスティック・マネージメント・チーム ディレクター)

ソウルを拠点とする非営利団体LIG Arts Foundationアーティスティック・マネージメント・チームのディレクターを務める。2000年より国際/国内プロダクションのプログラムに従事。LIG Arts以前にはLGアートセンター(ソウル)でコンテンポラリー・ダンスと演劇の国際プログラムを担当。また、イェール・レパートリー・シアターとイェール・キャバレー(米国)副マネージング・ディレクターを務める。現在LIG Artsがソウルと釜山に持つ3つの小規模会場でのプログラムとコンテンポラリー・ダンス、音楽のプロダクションを担当。

Anupama Sekhar

アヌパマ・シェカール(アジア欧州財団 文化部門 副ディレクター)

インドのアーツ・セクターでの活動、国連での業務を経て、2大陸49カ国の間での文化交流を推進するアジア欧州財団(ASEF)の副ディレクターを務める。『Managing Heritage Cities: the Role of Public-Private Partnerships』『Good Practices from Asia and Europe』を編集、『Mapping Cultural Diversity: Good Practices from Around the Globe』を共同編集。インドの古典舞踊バラタナティアムの訓練を受けたダンサーでもある。他に編著書2冊あり。

Atsuko Hisano

久野敦子(公益財団法人セゾン文化財団 プログラムディレクター)

現代演劇、舞踊を対象分野にした助成プログラムの立案、運営のほか、自主製作事業の企画、運営を担当。2011年より、アーティストとアーツ・マネージャーを対象にしたレジデンス・プログラム「ヴィジティング・フェロー」を開始。舞台芸術のための新たなインフラ開発、才能発掘、育成に関する支援策を考えている。

セッション2
ラウンドテーブル:国際共同制作について
日韓英国際共同制作『ONE DAY, MAYBE いつか、きっと』

one_day_maybe

2013年9月から12月、光州(韓国)、高知(日本)、金沢(日本)で上演した滞在型の日韓英国際共同制作『ONE DAY, MAYBE いつか、きっと』は、企画から3年、公演地毎にリサーチを重ね、2013年8月には光州、10月は高知、11月は金沢で滞在型クリエーションを行ない、各会場毎にリハーサルを実施しました(金沢公演は文化庁平成25年度文化芸術の海外発信拠点形成事業の一環)。この事例をもとに、実践により得られた課題や成果、国際共同制作の意義について参加者と議論します。

*日英逐次通訳あり

スピーカー:チェ・ソッキュウ(AsiaNow プロデューサー)、パク・ジサン(AsiaNow プロデューサー)、藤田直義(高知県立美術館 館長)、山浦日紗子(高知県立美術館 プロデューサー)、近藤恭代(金沢21世紀美術館 交流課長/チーフ・プログラム・コーディネーター)、黒田裕子(金沢21世紀美術館 プログラム・コーディネーター)

『ONE DAY, MAYBE いつか、きっと』
英国のカンパニー「ドリームシンクスピーク」の芸術監督トリスタン・シャープス原案・演出による場の特性を活かしたサイト・リスポンシブ・パフォーマンス。高知県立美術館、金沢21世紀美術館、Institute of Asian Cultural Development(韓国・光州市)、AsiaNowが連携し、光州、高知、金沢の3都市で作品を発表。企画発案から3年、作品の舞台は、廃校となった光州女子高等学校、夜の高知県立美術館、金沢の空きビル。オーディションで選出された日韓出演者と3カ国スタッフによる異色のコラボレーションとなった。

セッション3
アジアのアーティストが考えるAIR

作品づくりのため、活動の幅を広げるためだけでなく、様々な目的でAIRはアジアの中でも多様に展開しています。自らAIRの拠点を作り、国内外のアーティストを滞在させているインドネシアのペーパームーン・パペット・シアターのディレクターによる活動紹介などを通して、アーティストから見たアジアのAIRの可能性を探ります。

*日英同時通訳あり

スピーカー

Maria Tri Sulistyani “RIA” and Iwan Effendi

マリア・トリ・スリスチャニ(RIA)、イワン・エフェンディ(ペーパームーン・パペット・シアター 芸術監督)

グラフィック・ノベルがマンガを変容させたように(子供向けとしてしばしば見向きもされない形式に知的な挑戦、感覚の戦慄、大胆な視覚性を与えることで)人形劇を変容させた、インドネシアのペーパームーン・パペット・シアターの芸術監督。インドネシアの大学都市/アートの中心地ジョグジャカルタのヒップで若々しい文化を取り入れ、風変わりで一見イノセントなパペットを用いて多様な表現を行ない、個人史を扱う舞台作品から参加型サイト・スペシフィック・パフォーマンスまで多様な形態での上演を展開している。ニューヨークからアイオワまで、アムステルダムからラジャアンパットまで、日本からシンガポールまで、パペットを通して人々と交流するため旅を続けている。

Xiao Ke

 

シャオ・クゥ(パフォーマンス・アーティスト)

プロフィールはインターナショナル・ショーケース、シャオ・クゥ × チョウ・ツゥ・ハン『We apologize to inform you』のページへ

Zi Han

 

チョウ・ツゥ・ハン(ヴィジュアル・アーティスト、サウンド・デザイナー/パフォーマンス・アーティスト)

プロフィールはインターナショナル・ショーケース、シャオ・クゥ × チョウ・ツゥ・ハン『We apologize to inform you』のページへ

siren eun young jung

 

チョン・ウニョン(アーティスト)

プロフィールはインターナショナル・ショーケース、チョン・ウニョン『(Off) Stage / Masterclass』のページへ

Helly Minarti

ヘリー・ミナルティ(ジャカルタ・アーツ・カウンシル プログラム部長)

1968年に知事の諮問委員会として設立された公的機関、ジャカルタ・アーツ・カウンシルのプログラム部長。2013年から2015年の主要方針は、City Arts Centre(TIM)などのためのキュレーションを通してジャカルタを芸術文化活動の到達地点としてデザインするというもので、そのために集められたアーティスト、アーツ・マネージャー、アーツ・アクティヴィストから成るカウンシルの25人のメンバーの1人として活動している。ローハンプトン大学(英国)でダンス研究の博士号取得。2008年より様々な芸術文化団体のコンサルティングを行なっている。2013年11月よりインドネシアの振付家Fitri Setyaningsihのプロデューサーを務める。また、インドネシア・ダンス・フェスティバル2014(11月初旬)共同キュレーターでもあり、ダンス・ドラマトゥルクとなるべく勉強中。