公立文化施設の取り組みから海外の舞台芸術事情まで、さまざまな切り口で「舞台芸術のいま」を考えます

※プログラムは1月20日現在のものです。予告なく変更する可能性がありますのでwww.tpam.or.jpでご確認ください。
それぞれの地域においてダンスがどのように役立つのか イギリスのコミュニティダンスを参考に
●3月6日[木]10:00〜12:00/SPACE 6 会議室A

スピーカー:クリストファー・バナーマン(ミドルエセックス大学 ResCen 代表)
      大野典子(財団法人札幌市芸術文化財団 教育文化会館事業部 事業課 事業係長)
モデレーター:佐東範一[NPO法人ジャパン・コンテンポラリーダンス・ネットワーク(JCDN)代表]
コミュニティダンスは、地域コミュニティが失われつつあった70年代から英国で芽吹き、あらゆる人にダンスをする機会を与えるという考え方のもと、その対象は子供から高齢者、障害のある人、貧困層、各種更正施設などまで広がっています。現代の中で生まれ続ける社会的な問題や差別に対し、ダンスを通し現状を変えてゆこうとするイギリス各地での活動について、ゲストを招いてお話します。2007年6月に行った英国でのコミュニティダンス視察の報告も行います。
(協賛:ブリティッシュ・カウンシル)
Christopher Bannerman
● Christopher Bannerman
ロンドンのミドルセックス大学の、アーティストの創作プロセスを研究する機関ResCen (the Centre for Research into Creation in the Performing Arts)所長。ダンサー、振付家、芸術教育者として長いキャリアを持ち国際的に活躍。Dance UKの議長とThe Arts Council of England(現・Arts Council England)ダンス担当を務めた。現在London North Creative Partnershipsの議長、Rural Retreats(芸術活動主導者のための連続セミナー)の共同賛助人、芸術・人文科学研究会議とカナダ政府研究教授プログラムの顧問、英国文化・メディア・スポーツ省のDance Forumメンバー。
● OHNO Noriko
平成12年より札幌市教育文化会館事業課配属。地元の演劇人やオペラ団体と共同で複数の企画を立案・制作するフェスティバル形式の事業や子供を対象としたオペレッタワークショップ、能楽公演等を中心に担当。コンテンポラリーダンスでは、当会館で従来実施してきた鑑賞公演や経験者を対象としたワークショップ以外の企画を試みるため地域創造マスターコースに参加し、平成20年度に全国でコミュニティダンスをコンセプトとして展開する「Dance Life Project」の札幌版企画として高齢者とダンスの出会いの場を創出する予定。
SATO Norikazu
● SATO Norikazu
1960年北海道生まれ。80年舞踏グループ「白虎社」の創立に参加。以後94年の解散までの国内公演、海外ツアーにて舞踏手兼制作者として活動。96年アメリカ・ニューヨーク、ダンス・シアター・ワークショップにて1年間のアートマネージメント研修。97年アメリカ・インドネシア・日本の3カ国による国際プロジェクト「トライアングル・アーツ・プログラム」に参加。98年から3年間の準備期間を経て、2001年NPO法人ジャパン・コンテンポラリーダンス・ネットワーク(JCDN)を京都にて設立。日本全国にて社会とダンスをつなぐ様々な活動を行っている。
ダンス・スクリーン・スウェーデン ザ・ニューリミックス
●3月6日[木]18:30〜20:30/恵比寿ザ・ガーデンホール ヴィジュアル・プレゼンテーション会場

スピーカー:アンデシュ・エーン(スウェーデン文化交流協会・プロジェクトリーダー)
新しいダンスシネマという分野で、これまでにない芸術的領域を独自の方法で開拓した現在スウェーデンで活躍中の振付家、ダンサーの映像作品を紹介するプレゼンテーションです。これまでスウェーデンのダンスは国際的な舞台で脚光を集めてきましたが、ここ数年は特に「カメラの為のダンス」と言われるダンス映像のジャンルで知られています。レンズの前で上演することを前提とした振付や収録方法を採用している多様なダンス映像によって、スウェーデンのダンスシネマの最前線をご紹介します。
ダンス・スクリーン・スウェーデン
“The Rain” (2006) of Pontus LIDBERG
© Ralph Evers
● Anders OHRN
カリフォルニアのデラルテ・スクール・オブ・マイム・アンド・コメディ、パリのエコール・フィリップ・ゴーリエ演劇学校で学び、演技、演出、プロデュースの経験をもつ。現在スウェーディッシュ・インスティテュートのプロジェクト・マネージャー。80年代初頭にカンパニーTajphoon Tivoliを設立し国際的に活躍した後、バンドNationalteaternのプロデュース、カンパニー・フィリップ・ゴーリエの英国ツアー参加、ストックホルム市立劇場での演出、ヨーテボリの劇場Pusterviksteatern開設、ストックホルムのカンパニーModern Dance Theaterのマネージング・ディレクター等として活躍。
財団法人地域創造主催セミナー 魅力ある公立文化施設のための年間プログラムづくり 政策評価の視点から
●3月7日[金]10:00〜12:00/恵比寿ザ・ガーデンホール ヴィジュアル・プレゼンテーション会場

コーディネーター:草加叔也[空間創造研究所 代表]
パネリスト:児玉 真[NPO法人トリトン・アーツ・ネットワーク ディレクター]
      津村 卓[北九州芸術劇場 チーフプロデューサー]
      漢 幸雄[あさひサンライズホール 文化振興課 主幹]
      渡辺 弘[彩の国さいたま芸術劇場 事業部長]
近年、公立文化施設を取り巻く環境は大きく変化しており、各ホールでは使命・役割を再確認し、それに伴った事業・運営を行っていくこと、またそれに対して適切な評価をおこなうことが施設の設置主体や管理者に強く求められています。その要求を満たすため、一つの大きなポイントとなるのがホールの年間プログラムをどう組み立てるかという点です。このセミナーでは、ミッションに基づいた年間プログラムを行っている各地のホール等からゲストを招き、その策定の考え方や、プログラミングの事例を紹介します。また政策評価などについても簡単に触れながら、プログラミングを実際に行うに当たって具体的に役に立つ知識などについて説明を行います。(共催:社団法人全国公立文化施設協会)
● KUSAKA Toshiya
東海大学大学院工学研究科建築学専攻博士課程前期修了。その後(株)劇場工学研究所入所(研究員)。文化庁派遣平成元年度芸術家在外研修生として渡英。帰国後、(株)劇場工学研究所主任研究員を経て、劇場コンサルタント事務所創設。(社)全国公立文化施設協会公立文化施設活性化アドバイザー、(社)劇場演出空間技術協会理事、劇場芸術国際組織日本センター副会長なども務める。
● KODAMA Shin
76年音楽制作の世界に入る。86年からカザルスホールのプロデューサー。また、岐阜のメルサホールや三鷹市芸術文化センターのプロデューサーとしても活動する。01年より現職。「ホール公演とコミュニティ活動の両立」という新しい民間ホールの運営手法に取り組む。98年からは地域創造の公共ホール音楽活性化事業のチーフコーディネーター。現在、いわき市芸術文化交流館チーフプロデューサー、昭和音楽大学音楽芸術運営学科非常勤講師、地域創造プロデューサー及び「公共ホール音楽活性化事業」チーフコーディネーター、長崎市芸術アドヴァイザーなども務める。
● TSUMURA Takashi
大阪芸術大学を卒業後、大阪の情報誌プレイガイドジャーナルで企画を担当。'85年大阪ガスの扇町ミュージアムスクエアを企画し、副支配人兼プロデューサーに。'87年より兵庫県伊丹市の伊丹市立演劇ホール(アイホール)チーフプロデューサー。'97年よりびわ湖ホールの演劇部門に関わる。'95年より現在、財団法人地域創造に所属。芸術環境部プロデューサー。'00年より北九州芸術劇場に関わり、劇場のハードソフト両面の総プロデュースを手がける。北九州芸術劇場チーフプロデューサー。
● HATA Yukio
北海道旭川工業高校を卒業後、朝日町役場に就職。1993年ホール開設に伴い教育委員会へ出向。2005年9月士別市と朝日町の合併に伴い現職。財団法人北海道演劇財団評議員、財団法人北海道文化財団文化企画アドバイザー、シアターネットかんげき代表なども務める。
● WATANABE Hiroshi
情報誌『シティロード』編集部を経て、1984年から1989年まで銀座セゾン劇場開設準備。開館より演劇制作を担当。1989年から2003年まで(株)東急文化村企画運営部制作課長シアターコクーン担当。2003年より2006年まで、松本市のまつもと市民芸術館のプロデューサー兼支配人を務める。2006年10月より、現職。
今日のフランスにおける展望と課題
●3月7日[金]18:30〜20:30/日仏会館 ホール

スピーカー:エマニュエル・ヴァロン[パリ第10大学演劇科教授]
フランスは1940年代から半世紀を超える時間をかけて、国立演劇センター、国立振付センター、地方オペラ劇場、国立舞台、協定舞台、国立大道芸制作センター、国立サーカス芸術拠点などの公共舞台芸術施設、さらに演劇やダンスだけでなくサーカスや大道芸の公立教育機関を各地方に設置してきた(これらの文化施設の財源は、国立と名乗っている場合でも国、地方、県、市町村が分担し合っている)。国土全体における芸術基盤の整備、文化に接する機会の増大、観客層の拡大は(「文化の民主化」といわれる)、フランスの文化政策の大きな柱であり、地方においても充実した芸術環境の整備が実現されてきた。このようなシステムの強みと弱みはどこにあるのか、いくつかの疑問に答えてみたい。

・これらの文化施設はいかなるミッションを有し、どのように運営されているのか。
・文化施設と国、地元自治体との関係はどのようなものか。
・文化セクターで働く人材はいかに養成されているのか。
・政府の行財政改革は文化政策に今後どのように影響するのか。
・文化予算増大、施設拡充、演劇人の努力は裾野の拡大にどれだけ貢献できたのか。
・文化政策の評価はどのようにあるべきか。

 中央集権のイメージが強かったフランスでも、近年は地方分権が進み、舞台芸術を取り巻く環境は大きく変貌しつつある。フランスにおける文化の地方分権の現状と今後を論じるとともに、日本の文化関係者との意見交換の場ともしたい。
Emmanuel WALLON
● Emmanuel WALLON
エマニュエル・ヴァロン パリ第10大学教授(演劇学、文化政策学)。パリ政治学院卒、社会科学高等研究院で博士号取得。新ルーヴァン大学(ベルギー)でも教鞭を執る。演劇学と政治社会学との二つの領域を専門とするユニークな研究者である。フィールドは幅広く、フランスと演劇に限られることなく、ヨーロッパ各国の文化政策にも通じるほか、ヨーロッパサーカスや大道芸にも造詣が深い。